パソコンの自作やストレージの増設を検討しているとき、多くの人が悩むのがハードディスク(HDD)の回転数です。特に「HDD 7200rpm 5400rpm どっちが静か」という疑問は、静かな作業環境を求める方にとって避けては通れない問題でしょう。
回転数の違いは、単にデータの読み書き速度に影響するだけでなく、動作音や振動、さらにはPC全体の静音性にも大きく関わってきます。せっかく大容量のHDDを購入しても、作業中に「ブーン」という音が気になってしまっては集中力が削がれてしまいます。
本記事では、ストレージ専門の視点から、7200rpmと5400rpmの騒音の正体やメリット・デメリットを詳しく解説します。あなたの利用シーンに最適なHDDはどちらなのか、この記事を読めばその答えがはっきりと見つかるはずです。
HDDの7200rpmと5400rpmでどっちが静かか結論を知る

結論から申し上げますと、静音性を最優先にするのであれば、間違いなく5400rpmのHDDがおすすめです。回転数が低いということは、それだけ物理的な摩擦や空気の抵抗が少ないことを意味しており、動作中の音が小さく抑えられます。
静音性を求めるなら圧倒的に5400rpmが有利
HDDの内部では、プラッタと呼ばれる円盤状の記録メディアが高速で回転しています。この回転速度が1分間に5400回(5400rpm)であるモデルは、7200rpmのモデルと比較して、物理的なエネルギーが少なくて済みます。
回転速度が低いと、ディスクが空気を切る音(風切り音)が小さくなり、モーターの回転に伴う高周波のノイズも発生しにくくなります。特に、静かな部屋でパソコンを使用している場合、このわずかな音の差が耳に付くかどうかの大きな分かれ道となります。
また、5400rpmのモデルは振動自体も少ない傾向にあります。HDDの振動はPCケースに伝わり、ケース全体を共鳴させて大きな音に変えてしまうことがありますが、5400rpmであればそうしたリスクを最小限に抑えることが可能です。
なぜ回転数が高いと音が大きくなるのか
7200rpmのHDDは、1分間に7200回という猛烈なスピードでディスクを回転させています。この速度差は、単純に計算しても5400rpmより約33%も高速です。回転が速くなればなるほど、ディスク表面と空気の摩擦が激しくなり、騒音レベルが上昇します。
さらに、高速回転を維持するためには、より強力なモーターが必要になります。強力なモーターはそれ自体が発する動作音が大きく、また回転軸のわずかなブレが大きな振動へとつながりやすい性質を持っています。
高速道路を走る車が、一般道を走る車よりも大きな走行音を出すのと似た原理です。性能を追求するために回転数を上げた結果、どうしても騒音という代償を払うことになってしまうのが、HDDというデバイスの物理的な宿命と言えます。
7200rpmの騒音が気になる具体的なシーン
7200rpmのHDDを使用していると、特にデータの読み書きを行っていない「アイドル時」でも、常に「フォーン」という高い回転音が響くことがあります。深夜に文章を書いているときや、静かな映画を鑑賞しているときなどには、この音が非常に目立ちます。
また、データの検索や書き込みを行う際、磁気ヘッドが激しく動く「シーク音」も、7200rpmのモデルの方が鋭く響く傾向にあります。「ガリガリ」「カリカリ」といった不規則な音は、一定の回転音よりも人間の耳に不快感を与えやすいものです。
複数台のHDDを搭載しているNAS(ネットワークHDD)やサーバーの場合、7200rpmのモデルを並べると騒音が増幅されます。ファンの音と相まって、まるで小型の掃除機が常に動いているような状態になり、設置場所に困るケースも珍しくありません。
回転数(RPM)が動作音や性能に与える影響の違い

回転数の違いは、音の大きさだけでなく、HDDとしての基本的な性能や寿命、消費電力にも大きな影響を及ぼします。ここでは、それぞれの回転数が持つ特性を深掘りし、どのようなトレードオフ(相関関係)があるのかを整理していきましょう。
5400rpmは「静音・低発熱・省エネ」が魅力
5400rpmのHDDにおける最大の強みは、そのバランスの良さにあります。回転を抑えることで騒音を低減できるだけでなく、動作時の発熱を劇的に抑えることができるのです。HDDにとって熱は寿命を縮める最大の天敵であるため、低発熱は信頼性にもつながります。
消費電力の面でも5400rpmは非常に優秀です。少ない電力で安定して動作するため、ノートパソコンのバッテリー持ちを良くしたり、24時間稼働させるNASの電気代を節約したりといったメリットがあります。地球環境にもお財布にも優しい選択と言えます。
近年では技術の進歩により、5400rpmであっても十分なデータ転送速度を持つモデルが増えています。データのバックアップや動画ファイルの保存といった用途であれば、5400rpmの速度不足を感じるシーンはそれほど多くありません。
7200rpmは「読み書きの速さ」が最大のメリット
一方で、7200rpmのHDDを選ぶ理由はただ一つ、圧倒的なパフォーマンスです。ディスクの回転が速いということは、目的のデータがある場所までヘッドが到達する時間(アクセスタイム)が短くなることを意味します。
特に、OSの起動やアプリケーションの読み込み、大容量ファイルのコピーなどでは、7200rpmの恩恵を強く感じることができます。複数の小さなファイルを頻繁に読み書きするような作業環境では、5400rpmとの体感速度の差は無視できないほど大きくなります。
ただし、現在のパソコン環境では、OSやアプリの導入先としてSSD(ソリッドステートドライブ)を使うのが一般的です。そのため、データ保存用のセカンドドライブとしてHDDを使う場合、あえて音の大きい7200rpmを選ぶ必要性は薄れてきているのが現状です。
動作音以外に注目すべき「発熱量」の差
騒音と切っても切れない関係にあるのが「熱」です。7200rpmのHDDは高回転ゆえに多くの熱を発生させます。この熱を逃がすためにパソコンの冷却ファンが高速で回転することになれば、結果としてPCシステム全体の騒音レベルが上がってしまいます。
HDD自体の温度が上がると、内部パーツの劣化が進み、故障率が高まるリスクもあります。密閉されたPCケース内や、複数のHDDが密集する外付けケースで使用する場合、7200rpmのモデルは徹底した温度管理が必要不可欠となります。
5400rpmであれば、それほど強力な冷却を行わなくても安定して動作する場合が多いです。静音ケース(防音材の貼られたケース)は熱がこもりやすいという弱点がありますが、低発熱な5400rpmなら、そうした静音重視の環境とも非常に相性が良いのです。
【回転数による特性の比較】
・5400rpm:静音性が高い、発熱が少ない、消費電力が低い、データ保存向き
・7200rpm:読み書きが速い、発熱が多い、動作音が大きい、作業領域向き
騒音の種類から見るHDDの不快感の正体

HDDから発生する音には、いくつかの種類があります。単に「うるさい」と感じるだけでなく、どの種類の音が自分にとってストレスになるのかを知ることで、製品選びの基準がより明確になります。HDD特有の騒音を分類して見ていきましょう。
ディスクが回転する際に発生する「風切り音」
HDDを通電させた瞬間に聞こえ始める「シュー」という一定の音は、ディスクが高速回転することで周囲の空気をかき乱す風切り音です。この音は、回転数に比例して周波数が高くなり、キーンという耳障りな高音として聞こえることがあります。
7200rpmのモデルでは、この風切り音が常に鳴り続けるため、静かな部屋では特に存在感が強くなります。一方で、5400rpmのモデルはこの音が非常に低く抑えられており、PCケースに収めてしまえばほとんど気にならないレベルにまで落ち着きます。
最近の大容量HDDでは、内部に空気ではなく「ヘリウムガス」を充填することで、この空気抵抗を極限まで減らしたモデルも存在します。ヘリウム充填モデルであれば、7200rpmであっても従来の空気充填式より驚くほど静かに動作することがあります。
読み書き時に「カリカリ」と鳴るシーク音
データを検索したり書き込んだりする際、磁気ヘッドがディスク上を高速で移動します。その際に発生するのが「カリカリ」「ガリガリ」というシーク音です。この音は、HDDが一生懸命働いている証拠でもありますが、ランダムアクセスが多いときには非常に騒々しく感じられます。
一般的に、7200rpmのHDDはヘッドの移動速度も速く設定されているため、シーク音も力強く、はっきりとした音になりがちです。これに対し、5400rpmのモデルは動作が緩やかであるため、シーク音もマイルドで「コトコト」といった控えめな音になることが多いです。
シーク音の大きさはメーカーやモデルによっても大きく異なります。「静音モード」を備えたHDDであれば、設定次第でヘッドの動きをあえて遅くし、この動作音を和らげることが可能な場合もあります。
PCケース全体に伝わる低音の「振動音」
意外と盲点なのが、HDDの回転から生じる「振動」です。HDD単体ではそれほど大きな音ではなくても、PCケースの金属部分に振動が伝わると、ケース全体がスピーカーのような役割を果たして「ボー」という重低音を響かせることがあります。
これを「共振」と呼びますが、7200rpmはこの振動エネルギーが大きいため、しっかりとした対策をしていないケースではかなりの騒音源になります。安価なPCケースや、薄い金属板を使っている外付けHDDケースでは、この振動が不快感の主因になることが多々あります。
5400rpmのモデルはもともとの振動が弱いため、共振を引き起こす可能性が低くなります。もし現在使っているHDDの音が気になる場合、それは回転音そのものよりも、ケースとの共振による振動音である可能性を疑ってみるべきでしょう。
HDDの音は、カタログスペックの「dB(デシベル)」値だけでは測れません。音の高さ(周波数)や、不規則に鳴るシーク音の性質によって、人間が感じるうるささは大きく変わるからです。
利用シーン別・あなたに最適なHDDの選び方

HDDの性能と静音性のバランスは、どのようにパソコンを使うかによって最適な解が変わります。ここでは、いくつかの代表的な利用シーンを想定して、7200rpmと5400rpmのどちらを選ぶべきかのガイドラインを提示します。
寝室やリビングに置くなら5400rpm一択
パソコンを寝室に置いて夜間に動画をダウンロードしたり、リビングのテレビに繋いで映画を鑑賞したりするなら、迷わず5400rpmを選んでください。静まり返った夜間、7200rpmの回転音は想像以上に部屋の中に響き渡ります。
特にNASを24時間稼働させる場合、設置場所が生活圏内にあるなら静音性は死活問題です。家族から「あの機械、音がうるさいんだけど」と苦情が出るのを防ぐためにも、動作の穏やかな低回転モデルを選ぶのが賢明な判断と言えるでしょう。
5400rpmのHDDは、長時間つけっぱなしにしていても熱を持ちにくいため、ファンレス(冷却ファンがない)の外付けケースに入れて運用することも可能です。これにより、ファンによる騒音もカットできるため、極限まで静かなストレージ環境を構築できます。
動画編集やゲームで速度を優先するなら7200rpm
もしあなたがSSDを搭載していない古いPCのパワーアップを考えていたり、非常に大容量の動画素材を直接HDD上で編集したりするのであれば、7200rpmの速度が必要になるかもしれません。データの転送効率が求められる現場では、音よりも作業時間が優先されます。
ゲームのインストール先としてHDDを使う場合も、7200rpmの方がロード時間を数秒から十数秒短縮できる可能性があります。ただし、最近の大型タイトルはHDDでの運用自体が厳しくなっているため、あくまで「SSDを買う予算がない場合の次善の策」と考えるのが現実的です。
速度を重視して7200rpmを選ぶ際は、その騒音を許容できるかどうかを自分に問いかけてみてください。ヘッドホンをしてゲームに没頭している間なら気にならないかもしれませんが、無音で作業をしたいときには大きなストレスになる可能性があります。
外付けHDDやNASでの運用に適したモデル
外付けHDDとしてデータをバックアップするだけの用途なら、5400rpmで十分すぎるほどの性能があります。バックアップはバックグラウンドで行われることが多いため、数分の完了時間の差よりも、静かに、そして熱による故障を避けて動作することの方が重要です。
一方、本格的なNASを構築する場合は、単なる回転数だけでなく「NAS専用モデル」を選ぶことが大切です。これらは5400rpmクラスであっても、複数のHDDが同時に回る際の振動対策が施されており、家庭用や小規模オフィスでの使用に最適化されています。
例えば、Western Digitalの「WD Red」やSeagateの「IronWolf」といったブランドには、5400rpm(またはそれに準ずる5900rpmなど)のラインナップが豊富です。これらは「静かさと信頼性」を両立させた、非常にバランスの良い選択肢となります。
速度が必要ならSSD、容量ならHDDという使い分け
現代のストレージ選びにおいて最も重要なアドバイスは、「速さを求めるなら、HDDの回転数を上げるのではなくSSDを導入する」という点です。7200rpmのHDDは確かに5400rpmより速いですが、SSDと比較すればどちらも誤差のような遅さでしかありません。
快適なパソコン環境を作りたいのであれば、OSやアプリケーションは高速で無音のSSDに入れ、写真や動画といった大量のデータ保存には大容量で静かな5400rpmのHDDを使うという「ハイブリッド構成」が最もコストパフォーマンスに優れています。
この構成であれば、HDDの速度不足を不満に感じることはほとんどなくなり、同時に7200rpmの騒音に悩まされることもなくなります。無理に高性能なHDDを探すよりも、役割分担を明確にすることが、静音PCへの一番の近道なのです。
【おすすめの選び方まとめ】
・データの長期保存、バックアップ、動画鑑賞 → 5400rpm
・24時間稼働のNAS、リビング設置のPC → 5400rpm
・メインドライブがHDDで、少しでも高速化したい → 7200rpm
・理想的な環境を作りたい → SSD + 5400rpm HDD
HDDの音をさらに抑えるための静音対策テクニック

どれだけ静かなHDDを選んでも、動作している以上はゼロにはならないのが動作音です。5400rpmを選んだけどもう少し静かにしたい、あるいは7200rpmの音がどうしても気になるという方のために、実践的な静音対策をいくつか紹介します。
HDDケースや静音ボックスを活用する
内蔵HDDをそのまま取り付けるのではなく、HDDを包み込む「静音ボックス」と呼ばれる周辺機器を利用する手があります。これは金属製のケース内に吸音材や制振材を敷き詰めたもので、HDDから漏れる高周波の回転音を効果的に遮断してくれます。
外付けで使用する場合は、プラスチック製の安価なケースよりも、アルミ製の重厚なケースを選ぶ方が音が漏れにくい傾向にあります。アルミは放熱性にも優れているため、HDDの温度上昇を抑えつつ静音性を高めることができる一石二鳥の素材です。
ただし、密閉しすぎると熱がこもってしまうという欠点もあります。静音ボックスを使用する際は、HDDの温度をモニタリングするソフト(CrystalDiskInfoなど)を使い、過度に温度が上がっていないか定期的にチェックすることをおすすめします。
防振ゴムや防振ネジで共振を防ぐ
HDDの騒音の大きな原因である「共振」を防ぐには、物理的にPCケースとHDDを絶縁するのが最も効果的です。HDDを固定するネジの間に「防振ゴム(ラバーワッシャー)」を挟むだけで、ケースに伝わる振動が劇的に軽減されることがあります。
最近の自作PC用ケースには、あらかじめHDDベイにゴムのクッションが備わっているモデルも多いです。もしお使いのケースにそのような仕組みがない場合は、市販の防振ネジセットを購入して交換してみる価値は十分にあります。
さらに高度な対策として、HDDを紐やゴムで吊るす「空中吊り」というテクニックもありますが、これは落下の危険やHDDの故障リスクを伴うため、基本的には防振レールやシリコン素材のインシュレーターを活用するのが安全で確実な方法です。
ケースの吸音材で見えないところから対策
PCケース自体のサイドパネルの内側に、吸音シートを貼り付けるのも有効な手段です。吸音シートはHDDの回転音やファンの風切り音を吸収し、外に漏れる音を一段階下げてくれます。特に中高音域の不快なノイズを抑えるのに効果を発揮します。
また、パソコンの設置場所を見直すだけでも音の感じ方は変わります。デスクの天板の上に置くよりも、床に近い位置(ただし埃には注意)に置く方が、耳からの距離が遠くなり騒音が気にならなくなります。
外付けHDDの場合は、本体の下に厚手のマウスパッドや耐震マットを敷くだけでも、デスクとの共振が抑えられて驚くほど静かになることがあります。まずは身近なもので振動を吸収できないか試してみるのが、最も安上がりで効果的な対策です。
| 対策方法 | 期待できる効果 | 難易度 |
|---|---|---|
| 防振ゴムの装着 | 振動・共振の抑制 | 低 |
| 吸音材の貼り付け | 全体的な騒音軽減 | 中 |
| 静音ボックスの利用 | 回転音の強力な遮断 | 中 |
| 設置場所の変更 | 体感騒音の低下 | 低 |
まとめ|HDDの7200rpmと5400rpmは「静かさ」か「速度」で選ぼう
今回は「HDD 7200rpm 5400rpm どっちが静か」というテーマについて、その理由や選び方のポイントを詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
まず、静音性を重視するのであれば、5400rpmのHDDを選ぶのが正解です。回転数が低いことで、風切り音やモーターの動作音、振動が物理的に抑えられ、耳障りなノイズを最小限にすることができます。また、低発熱で長寿命という付加価値も、5400rpmの大きな魅力です。
一方で、どうしてもHDDに速度を求めなければならない特殊な状況であれば、7200rpmが選択肢に入ります。しかし、現在のパソコン環境では「速度ならSSD、容量なら5400rpmのHDD」という組み合わせが最適解となっており、7200rpmのHDDをあえて選ぶメリットは以前よりも少なくなっています。
快適なPCライフを送るためには、性能の数字だけでなく、使用環境に合った「音」への配慮も欠かせません。この記事を参考に、あなたのデスク周りをより静かで快適な空間にしてくれる、最高の一台を選んでみてください。


